ライフサイクル BIM ワークフローにより、成都ホテルの工期を 50% 短縮
煩雑なワークフローに別れを告げましょう。 成都東安湖カポック ホテルのインテリア デザイン チームは、まさにこれを実践し、設計・施工プロセス全体を通じて、真のビルディング インフォメーション モデリング (BIM) を活用しました。 このプロジェクトは中国で建設されましたが、姉妹プロジェクトの多くは今でも伝統的に設計され、一般に「フェイクの BIM」として知られる BIM で再モデリングされています。予想された工期を大幅に上回る速さで、チームは Trimble のテクノロジー (Trimble Robotic Total Station を称賛) と SketchUp を組み合わせ、工期を 50% 近く短縮しました。これこそが、まさに BIM プロセスの洗練と言えるでしょう!
インテリア デザインのプロジェクト チームは、プロジェクトの所有者である China Resources Land (CRL)、インテリア デザイナー兼 BIM コンサルタント(1)、Beijing Original Consociation Interior Design Co. Ltd. (OCD)、および建設チームで構成されていました。 「2D で設計し、BIM で再モデリングする必要がある」という古い信念から切り替えて、デザイン チームはプロジェクト全体を通して SketchUp を使って軽量モデルを作成し、3D で直感的にコミュニケーションをとることで、時間とコストを節約しました。
(1) インテリア プロジェクト デザイナー兼 BIM コンサルタント: デザイン開発と建設ドキュメントを担当する従来のインテリア プロジェクト デザイナーとは異なり、BIM コンサルタントは、このプロジェクトで施工ドキュメント レベルの詳細を含む BIM モデルを提供しました。 ゼネコンは、すべての 2D 図面を必要とせず、BIM モデルからプロジェクトを構築できます。 ゼネコンは、建設終了時に法定要件の竣工図のみを提出しました。
成都ユニバーシアード キャンパスのレンダリング
納期が厳しいため、クリエイティブなデザイン アプローチを余儀なくされます。
成都ホテルは、2021 年の成都ユニバーシアード スポーツ センターのオープンに間に合わせる必要があり、完成まで 17 か月しかありませんでした。 タイトな建設サイクル、厳格なコスト管理、そして高品質という要件から、CRL は超高速のデザイン ワークフローが必要だと考えていました。 CRL は、ライフサイクル BIM を使ったホテル プロジェクトを手がけたことはありませんでしたが、この新しいプロセスに軸足を移しました。 ライフサイクル BIM は、すべての分野と関係者を巻き込み、コンセプトから解体までの建物の 3D デザインと管理を行います。 CRL は、オーナー主導で、設計から施工まですべての関係者を監督していたので、このホテル プロジェクトで新しいワークフローを試すことができました。
最終的な建物は 61,000 平方メートルで、3 つのタワー、基部、宴会場、351 のホテル客室、地下室が含まれています。 2019 年 12 月、コンクリート基礎が流し込まれ、2021 年 5 月までに、この巨大なプロジェクトは総工期 17 か月で完成しました。 これに対し、ホテルの設計と建設にかかる期間は通常 32 か月で、このプロジェクトでは建設サイクルが 50% 近く短縮されたことになります。 プロジェクトの完了段階は 7 〜 8 か月でしたが、同規模のホテル プロジェクトでは 12 か月ですから、42% の短縮です 。
成都ホテル プロジェクトのレンダリング
レストランの竣工時写真
最上階バーの竣工時写真
ライフサイクル BIM プロセスを成功させるための 5 つのヒント
- 最初から最後まで、それ以降も、1 つの 3D モデルを使うこと! デザイン チームは、BIM プロセス用に作成した SketchUp モデルを使って、ホテルのインテリア デザインとマテリアル リストを作成し、製造プロセスをガイドしました。 建設後、3D モデルはホテルのライフサイクル全体にわたって使えるよう、建物のメンテナンス チームに引き渡されました。 時間の無駄もなく、手直しの必要もありません!
- モデリングの手法が鍵です。 プロジェクトの BIM 要件に従ってモデルを構築し、プロジェクトが必要とする特定のデータポイントを確実に提供することが極めて重要です。 設計の段階で、チームは時間効率の良い見積りと材料数量の見積りに必要な精度でモデルを作成し、直接調達に回せるようにしました。
- リスクを事前に予測すること。 BIM プロセスは、リスクを未然に回避するのに役立ちます。 3D モデルには、スキャンした現場の 3D クラウド データが添付されていたので、モデルを継続して使い、プロジェクト全体でエラー分析レポートを実行することができました。 デザイン チームはまた、デザイン開発前に衝突検出を行い、問題を事前に特定して解決しました。
- 3D スキャンと Trimble Robotic Total Station でモデルのデジタル精度を実現すること。 このホテル プロジェクトでは、インテリア デザイン チームがレーザー スキャンした点群データを基に、施工時の構造モデルを作成しました。 BIM モデルは既存の構造物を中心に開発し、Trimble Robotic Total Station と FieldLink を使って現場のレイアウト用にエクスポートしました。
- ライフサイクル BIM の管理と実装に、全分野対応のクラウドベース設計プラットフォームを使うこと。 すべての関係者がホテルの BIM モデルとデータにアクセスでき、すべての情報が同期・共有されました。
BIM プロジェクト管理組織図
建設スケジュール
ワークフロー、ソフトウェア、ハードウェアのハイライト
点群スキャン: モデルとサイトの整合性を確保
このプロジェクトでは、Trimble スキャナーを使って、建設中のプロジェクト周辺の何百万ものポイントをキャプチャしました。 敷地の状況とプロジェクトの規模の大きさから、建設中のホテルの点群スキャンは、フロアごとに区切られた建物のセグメントにまとめられました。 次に、内装の概略設計モデルの構造寸法と要素を点群データに基づいて調整し、内装と MEP (機械、電気、配管) の詳細モデルの正確な基礎を形成しました。
「なぜ、ビルの建設中にわざわざ点群スキャンをする必要があるのでしょうか? それは、構造建設段階で発生した細かな変更やミスは、竣工図では捉えにくいからです。 インテリア デザイン、製作、加工がオリジナルの施工図に基づいて行われたとします。 その場合、多数の天井高さ精度が保証されず、より多くの変更が生じ、無駄な時間を費やすことになります。 点群スキャンを使えば、3D モデルで竣工時の寸法を最新の状態に保つことができ、プロジェクト全体を通じてその精度が保証されます。」
- 中国資源土地本部ホテル観光・健康課副部長、劉徳建 (Liu Dejian) 氏
建設作業の現場スキャン
建物構造寸法の現場スキャン
3D スキャン データに基づいて BIM モデルを更新
「点群スキャンとエラー レポートの助けを借りて、工場の生産時間と現場の建設時間を同期させました。 たとえば、大宴会場にはアルミやステンレスのパネルが多く、設置後に自然に膨張・変形します。 スキャン点群を使って、素材の変化を捉えることができました。 従来、この大宴会場の建設には 7 〜 8 か月かかっていましたが、この正確な技術を使えば 4 か月もかかりませんでした。」
- 中国資源土地本部ホテル観光・健康課、BIM 責任者、何偉 (He Wei) 氏
大宴会場のモデルと完成現場
壁と柱の垂直度レポート
「各部屋の点群データをスキャンして部屋の寸法を把握し、BIM モデルで部屋タイプのデザインを標準化し、Trimble Robotic Total Station を使ってデザインを正確にレイアウトしました。」
- OCD 社 CEO、何濤 (He Tao) 氏
チームは、Trimble スキャナーで取得した点群データを使って、分野横断的にモデルを同期しました。 この同期により、材料、コスト、標準的なプロセス、その他の情報に一貫性が保たれました。 統一規格によって、クライアントは時間とコストを節約できました。
設計当初、このホテルには 300 室以上、数百の客室タイプがあり、建設チームにとっては大きな頭痛の種でした。 フットワークの軽いデザイン チームは、工期を短縮し、正確な施工を実現するために、2 つの手順を実行しました。 1 つは、部屋の設計を標準化し、工場生産でのプレハブ化を可能にすることでした。 この標準化により、工期、労力、コストが節約され、埋蔵炭素と廃棄物が削減されました。 もう 1 つは、Trimble の点群スキャンを使って正確なデジタル ツインを作成し、Trimble Robotic Total Station のレイアウトを使って精密な施工を行うことでした。
Trimble Robotic Total Station の使用
ロボットが世界を席巻しています...まあ、少なくとも工事の話ですが。
Trimble Robotic Total Station (RTS) は、現場で意図した設計を正確にレイアウトするためのツールであり、レイアウト作業の効率と精度を向上させます。 このハードウェアは、Trimble FieldLink ソフトウェアと連動し、このソフトは、ホテルの最新の SketchUp モデルをホストするタブレットで動作します。 タブレット上でレイアウトポイントを選択すると、Robotic Total Station は数秒のうちに関連する方向と角度にレーザービームを照射します。 BIM モデルに基づいて現場をレイアウトすることで、石積みや仕上げ材の位置精度が向上し、3D モデルと同じ敷地にすることができました。 チームはボーナス ポイントとして、仮想現実のモバイル アプリを使ってレイアウトを視覚化しました。
モバイル アプリによる建設レイアウトの VR 視覚化
現場でのモックアップ仕上げをガイドする BIM モデル
建設前に衝突検出を行い、すべての建築システムを最適に動作させます。
異なる分野のモデル間の問題を発見するプロセスである衝突検出は、BIM の不可欠な応用です。 これにより、プロジェクトチームは、現場での建設が始まる前に、コストのかかる可能性のある BIM モデル内の不整合を解決することができます。
衝突検出
MEP レイアウトの最適化をガイドする BIM モデル
ライフサイクル BIM プロセスのメリットは明らかです。スキャンした建物の構造の点群データを、インテリア デザインと MEP の BIM モデルに簡単に重ねることができるのです。 Trimble Connect の衝突検出機能を活用してこれらすべてのレイヤを評価することで、ホテル全体の MEP アセンブリが室内の天井高さ要件とシームレスに噛み合うようになりました。
断面解析の結果、MEP 配管の配置は天井高さ要件を満たしていることがわかりました。
竣工時の客室写真
MEP 配管配置の最適化
ワンクリックで部品表 (BOM) が生成されます!
従来の BOM 計算のワークフローはどうだったでしょうか? たとえば、数量測量士が深夜にテーブルの上に積まれた分厚い図面の山を整理しているところを想像してみてください。 数量測量士は手間ひまかけて、一つひとつの図面の長さ、面積、体積のデータを手作業で計算し、記録し始めます。
しかし、チームはこのプロジェクトで従来のやり方に固執したくありませんでした。 成都ホテルで用いた BIM モデリング プロセスでは、マテリアルのコーディングと寸法を SketchUp の Dynamic Components に入力しました。 それぞれのマテリアルが、モデルから体積や面積を生成するための異なる計算に対応していました。 SketchUp の Generate Report (レポートの生成) 機能を使って、数量測量士はマテリアルのプロパティと数量をワンクリックでエクスポートし、BOM を生成することができました。 設計と施工をつなぐことで、SketchUp モデルは BIM の究極の目的を果たし、将来の運用と保守のためのデジタル ツインとして機能します。
BIM モデル数量表
マテリアル スケジュール
LayOut の図面が工場加工をガイドしました。
チームは、BIM モデルと LayOut (SketchUp の 2D ドキュメンテーション ツール) を使用して、建設と設置の順序を設定しました。 請負業者は BIM モデルからマテリアルの種類ごとに部材を発注し、その後、部材をプレハブ化して現地に設置しました。 LayOut の図面は SketchUp のモデルと同期するので、すべての図面は建設プロセスを通じて一貫性があり、最新の状態に保たれます。
SketchUp モデルから直接生成した LayOut 図面
BIM モデルは、ホテルの内装工事と多業種間のコーディネートをガイドし、工期短縮と効率化を実現しました。 また、建設資材の調達、現場での潜在的な安全リスクの軽減、工場でのフロー ライン加工による組み立て、資材のスクラップ率の削減、政府が求める建築物のプレハブ化率を満たすためのガイドとしても機能しました。 SketchUp で作成したモデルは、工場メーカーに渡され、マテリアルのカスタマイズを行うためのガイドとなりました。 下図に示すように、BIM モデルが仕上げのレイアウトを主導し、現場で粉塵が発生しないため、切断ゼロ、スクラップゼロ、汚染ゼロ、低炭素を達成しました。 これらのプロセスにより、時間と人員の節約、コストの削減、効率の向上が実現しました。 今後、CRL とパートナー企業によるプロジェクトでは、この新しいワークフローを用いて、ホテルのフィットアウト資材の組み立てを行います。
仕上げ材のレイアウトに使われている LayOut
工場加工をガイドする SketchUp モデル
SketchUp モデルに基づく工場組立のモックアップ
クラウドベースの共同デザイン
デザイン チームは、クラウドベースの共同デザイン プラットフォーム全体で SketchUp 拡張機能を使うことで、ファイルのダウンロードやコピーに時間をとられることがなくなりました。 高度に調整された全分野にわたる設計プロセスにより、関係者はプロジェクトのタイムラインを伝達し、データを共有・送信し、従来の施工図のエラーや脱落を減らすことができました。
スイミング プールのモデル vs 建設現場 vs 完成写真
ホテル屋内外の写真
「成都ホテルに採用された BIM プロセスは、今後のビルに採用すべきベスト プラクティスです。 モデルの適合性、コーディングの使用、数量の管理、複数の関係者間のコラボ、BIM と現場のコラボなど、すべてが『ちょうど良く』行われています。」
- buildingSMART 中国支部事務局長、Wei Lai 氏
SketchUp は、国内外の多くのプロジェクトで活躍する優れたデザイン モデリング ソフトウェア、そして BIM ツールです。 成都ホテルのデザイン チームによると、SketchUp はシンプルかつ軽快で、他の Trimble ソフトウェアやハードウェアと組み合わせれば、究極のデザイン パッケージとなります。
蓄積と検証の期間はわずか 3 年ですが、CRL と OCD は (他のパートナーとともに) 50% 近い工期短縮、大幅なコスト削減、安全性の向上、二酸化炭素排出量の削減という、目覚ましい成果を上げました。 デザイン チームは、これらのワークフローの改善を完全に取り入れるには、数件のプロジェクトが必要だと説明しています。 しかし、このテクノロジーを使えば、ワークフローを変更し、アップグレードすることで、設計と建設のための真のライフサイクル BIM を実現することができます。
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